Dの日記 PAGE15〜17
PAGE15
青木「………」
あゆみ「………」
青木「…おい、なんだこれ。」
あゆみ「わ、わからないわよ…」
青木「意味不明だ、これでも日記かよ…気持ち悪いな…」
あゆみ「ねぇ四郎。」
青木「?」
あゆみ「あ、あのさ…ここまで読むと13ページ目、気にならない…?」
青木「そりゃあ気になるけど…でもよしたほうがいいかもな。」
あゆみ「でも…」
青木「たぶんアレだ、秘密の13ページ目はこの女の顔が写るんだよ。」
あゆみ「お、脅かさないでよ!」
青木「とにかくもう屋敷を出ようぜ、もう暗くなっちゃうし。」
あゆみ「そうね、とりあえず帰りましょ。…きゃっ!」
ズボッ!
あゆみは床の腐った部分に足をひっかけて転んでしまった。
かなり古い屋敷なので床が腐っていても不思議ではない。
あゆみ「いった〜い…」
青木「何やってんだよ、ほら手をだせ。」
あゆみ「あ、足が床にはまって…」
青木「どれ、足引っ張ってやるよ。」
あゆみ「バカ!どこさわってんのよ!」
青木「足を引っ張ってやろうって言ってんだよ、いいから動くな。」
ズボッ
青木はあゆみの足を腐った床から引っ張りだした。
青木「よし、さぁ帰るぞ。」
あゆみ「あ、ありがと…」
それから屋敷を出た二人は再びバスで街へ戻り、それぞれ家へ帰っていった。
「Dの日記」はとりあえずあゆみが持ち帰ることになった。
別れ際に二人は、決して13ページ目は読まないようお互い約束した。
しかし好奇心の強いあゆみに、果たして「秘密の13ページ目」を読まずにいられるだろうか。
その答えは、今夜午前02:00に出る。
PAGE16
S市 A町 柴田あゆみ家
午前01:30
その日の深夜、あゆみはなかなか寝付けなかった。
あゆみ「………」
あゆみ「なんか眠れない…やっぱあの日記が気になるな…」
あゆみは携帯を取り出し、青木の携帯に電話をかけた。
ピッピ
プルルル……プルルル……プツッ
*「もしもし。」
あゆみ「あ、四郎?あたしだけど…寝てた?」
*「いや、そろそろ寝ようかと思ってたとこ。…どうした?」
あゆみ「あのさ…例の日記、13ページ目がどうしても気になるのよ。」
*「気持ちは分かるけどさ…よしたほうがいいんじゃないかなぁ。」
あゆみ「あんたにしてはイヤに慎重ね。いつもならこういうオカルト系は自分からすすんでやるのに。」
*「そうだけどさ、なんだか今回のはイヤな予感がするんだよ…。あ、ところでDの日記のDという意味が分かったぞ。」
あゆみ「え?ほんと?なになに?」
*「これは人の名前やイニシャルじゃないな、今日俺、屋敷のピアノ弾いただろ。あれで意味がわかった。」
あゆみ「なによなによ、早く教えてよ。」
*「あのピアノ、弦が一本だけ切れてた。たぶんあの写真の少女が殺されたときに倒れた衝撃かなんかで弦が切れたんだな。」
あゆみ「で?」
*「切れた弦がドレミファソラシの中の[レ]の音階だった、[レ]という音階はコードでいうと[D]ともいう。」
あゆみ「あんたそんなことよく知ってるわね。」
PAGE17
*「それにカタカナの[レ]という字、何か見覚えがないか?」
あゆみ「レ?…う〜ん…わかんない。」
*「カタカナのレという字は、アナログの時計の針でいうと2時を指す。2時を指した時計の針はカタカナの[レ]に見えないか?」
あゆみ「あ…そ、そういえば…」
*「そう、つまりDの日記とは言い方を変えると…」
あゆみ「わかった![午前02:00の日記]ってことね!」
*「正解。」
あゆみ「すっご〜い!やるじゃん四郎!」
*「うん…だからよけい心配になってきたんだよ。午前02:00に13ページ目を鏡に写せば本当に…」
あゆみ「もしね、もしこの呪いが本当だとしてもさ、たとえ13ページ目を見たとしてもそれを誰かに言わなければいいんじゃん。」
*「まぁな、例えばお前が見てそれを誰にも言わなければな。」
あゆみ「あんたにも教えられないってことね。」
*「そういうことになるな。」
あゆみ「…あのさ四郎、あたし13ページ目見てもいいかな。」
*「どうなっても知らないぞ、お前の身体は背骨が折れて、えびぞりの状態で冷蔵庫に…」
あゆみ「ば〜か、そんなことになるわけないでしょ。脅かしても無駄よ。」
*「ちっ、屋敷にいたときはあれほど怖がってたのにな。」
あゆみ「今は午前01:45分だから、もうすぐ2時ね。」
*「おいあゆみ、まじでやめとけって。悪いこと言わないから。」
あゆみ「大丈夫よ、どうせページを鏡に写したって何も見えるわけないじゃん。それで何か写ったらノーベル賞ものよ。」
*「しかし…」
あゆみ「まぁいいわ、あたしもなんか眠くなってきちゃった。この話の続きは明日学校で話そ。」
*「そうだな、じゃあまた明日。」
あゆみ「じゃあね〜。」
ピッ
[7]前 [8]次
[9]戻る
[0]HOME