Dの日記 序章
〜序章1〜
【秘密】
(名・形動)[文]ナリ
(1)隠して人に知らせないこと。公開しないこと。また、その事柄。
「―にする」「―がもれる」「企業―」
(2)人に知られないようにこっそりすること。
今回はある街の七不思議の一つでもある、ある街で語り継がれている呪いの体験を語る。
決して他人に漏らしてはならぬ、ある秘密を教えよう。
ここにある一冊の名もない古い「日記」がある。
誰が書いたものなのか、いつのものなのかは不明である。
ボロボロに朽ち果てた日記の表紙には、書き殴ったように「D」と記されているだけ。
朽ち果てた日記の古さからみて、おそらく書いた本人はもうこの世にはいないだろう。
しかしこの「日記」には、実は恐ろしい呪いがこめられているという噂だ。
それは奇妙なことに、13ページ目以降からはただの白紙である。
持ち主がそれ以降書くのが面倒くさくなったのか、それとも何らかの理由で書けなくなったのか。
ともかくこの日記は12ページまでしか書かれていない。
だがこの日記は「ある条件」を満たすと、13ページ目が読めるそうだ。
それは決して読んではならない呪いのページとして語り継がれていた。
どうやら13ページ目に、この日記の持ち主の「秘密」があると判断してもよさそうだ。
〜序章2〜
しかし呪いのページと呼ばれているからには、読んだ者が無事では済みそうもない。
秘密の13ページ目を読んだ人間はどうなるのか?
貞子が出てくるとでも言うのか?
一週間後に死を宣告されるとでも?
とりあえずそれを説明する前に、はっきりとしたことが一つだけある。
それは過去に13ページ目を読んだ者がいるということ。
なぜなら読んだ者がいるからこそ、その日記に呪いがあると噂されているからだ。
ではその読む条件とは?
それは非常に簡単な方法である。
誰でも手軽に用意でき、誰でも読むことができる。
「午前02:00分に13ページ目を開く」
「13ページ目を鏡に写して読むようにする」
たったこの二つの条件を満たせば、13ページ目が読めるそうだ。
非常に下らない。かつ、いかにも疑わしい条件である。
なぜ午前02:00でないといけないのか。
なぜページを鏡に写さなければならないのか。
表紙に記されている「D」とはいったい何の意味なのか。
しかし人はたったこれだけの陳腐な伝説が存在するだけで、すぐに飛びつくもの。
見てはならない、読んではならない、と言われれば言われるほど人はどうしても読みたくなるもの。
他人の秘密ほど興味深いものはない、すでにこの世にいない人間の日記ならなおさらである。
遊びのネタや話のネタには充分である。
〜序章3〜
のちほどお見せする「Dの日記」、良ければ皆さんにも読んでもらいたい。
勇気のある人なら、秘密の13ページ目を読むことができるだろう。
ただしくれぐれも守ってもらいたい注意点が一つだけある。
これだけは厳守してもらいたい。
秘密の13ページ目の内容を、「決して他人に漏らしてはならない」。
これを破ると、あなたは必ず「Dの呪い」がかかります。
ゆえに口が軽い方にはこの日記はおすすめしない。
何しろ一言でも13ページ目の内容を他人に漏らせば、即「Dの呪い」がかかる。
しかしだからといって恐れる必要は何もない。
以上の注意点だけを守れば、あなたの身の安全は保障する。
読んだだけでは呪いなどかかることはない。
要はそれを他人に漏らさなければいいだけのこと。
「秘密」さえ守れば何も起こらないのだ。
13ページ目に何が書かれていたのか、それさえ誰にも教えなければ良いのである。
それだけで他人の秘密がこっそりと覗けるのだ。
ゆえに安心してDの日記を読んでいただきたい。
ちなみに秘密を破ると、どういうことになるのか教えよう。
これが「Dの呪い」である。
'口を割ったら あなたは 背骨が逆に折れ えびぞりのまま 冷蔵庫の中に 押し込まれる'
ではこれから話すある二人の高校生とともに、「Dの日記」を読んでいこう。
見えない13ページ目の秘密を探ってみよう。
これは ある街での ある噂から始った ある呪いの実体験である。
Dの日記
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