禍福は不明
投稿者:繭玉さん
それは、数年前のクリスマス前後くらい。
とある娘は当時七階建てのマンションの三階に住んでいて、娘の妹の友人姉妹が真上に住んでいるのでお互い夜まで遊んでいました。
ベランダ側が南で玄関側が北で統一された、方角が非常に分かりやすいマンション。しかし、南側の信号挟んですぐの場所(窓から見える)に普通の斎場がありました。
例に漏れず、今日も娘たちは夜まで遊んでいました。娘は一緒に遊んでいましたが、少し疲れたと飲み物を取りにスライドドアを開けリビングへと一歩踏み出しました。
しかし、娘はキョトンと不思議そうな表情をしてリビングのソファーを見つめていました。そこには、浅く腰掛けているのにも関わらず足がカーペットについていない妹より小さい女の子がいました。
そしてその女の子はベランダの窓を、恐らく斎場を…見つめながら座っていたのです。
何秒も時間は経っていませんが、娘がハッとしたとほぼ同時に、女の子は首をふいっと娘の方へ向けます。
横顔では分かりませんでしたが、色白でおかっぱの黒髪。オレンジ色の浴衣に赤帯という軽い和服を着ていました。
女の子は、娘と目が合うとふっと柔らかく笑い娘の目の前で徐々に透けていなくなりました。
ポカンとする娘は皆に一部始終を伝えますが妹や友人姉妹は驚いて涙目で半信半疑。
娘の母曰く、家と斎場の場所からして霊線が通っているのが丁度女の子が座っていたソファーの位置に当たるらしく見た目からすると座敷わらしでも出たかもね。といっていました。
…座敷わらし?見た目は近いですけど、娘は数年経った今も考えています。
何故なら……その半年後に母は事故で死にかけましたが、父の遠地への転勤はなくなりました。
福だけでなく禍も持ち込む謎の女の子…?
後から気がつきましたが、その配色は娘の母が幼い頃に彼女へと作って貰った浴衣の配色と同じだったのです。
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