おじぎ
みなさんお邪魔します。
自分のめちゃ怖かった体験を書き込みませて頂きます。
誤字脱字はツッコミ無用でヨロシクお願いします。

その体験をしたのは小学校5年生の頃の春頃の日曜日だった。

その日は普段連んでいる友達の都合が合わず、折角の休日をどうすごしたものかって感じでいると、当時中2だった兄貴の友達でYさんってのが兄貴を誘いに来た。
兄貴とYさんは中学野球でバッテリー(Yさんがピッチャー)を組んでおり、何かの都合で部活の練習が無いときでも良くキャッチボールをしていましたが、今日もそんな感じだったので暇な自分は二人に付いていく事にした。

いつも二人は公園の整地された多目的広場でキャッチボールをしているらしく、その日は瀬戸物市みたいなイベントで使われていて、更に日曜日と言うことで小さな子供が遊具近辺に結構居るから、キャッチボールが出来そうな場所は道路近くの角のほうだけだった。
そこで二人がキャッチボールを始め、最初は緩い感じのボールを投げていたが、少したつと、早い球を投げたり、カーブやスライダーを投げたりしだした。

自分は初めて生で見るカーブやスライダーに驚いたり感心したりして楽しんでいたが、Yさんはそんな自分に
「次、ハブボール^^」
と言ってボールに指を2本突き立てた握りを見せた。

自分「あれ漫画の話でしょ^^」
Yさん「マジで投げれるから見とけよ^^」
兄貴「阿呆。お前ちゃんとミットに投げれよ^^」
って会話があり、
Yさんは半笑いで構えて自称ハブボールを投げた。

Yさんが投げた自称ハブボールは、5m先の地面にあたると、見当違いの方向に立っている照明の柱に直撃し、公園横の車道でワンバウンドして向かいの藪に入って行った。

兄貴が驚いて「えぇ!」みたいな声を上げ、Yさんは気まずそうな顔でボールの入った藪を見ていた。
自分もあらら〜と思いながら藪を眺める。

「お〜い…どうすんだよ、Y」
兄貴が面倒くさそうに言うと、それに答える。
「わりぃ〜…取りに行かないと不味いんだよな…」
って、Yさんの声は意気消沈って感じで元気がなかった。

兄貴にそこで待っていろと言われて、自分は兄貴達の様子をその場で見ていた。
二人は道路を越えて、道路脇から人の背くらいの落差をするすると下りていき、そこから小山の藪に下を見ながら手探りみたいな感じで分け入っていく。
自分は何でそんな近くから探して始めているのか不思議に思いながら二人を見ていたが、暫くしてボールが飛び込んだ辺りに目を移すと、人間大のテルテル坊主みたいなのが立っているのが見えた。
兄貴達は手探り風に下を向きながらそいつに近づく感じだったので、
「にいちゃ〜ん!変なのがボールが行ったとこに立っているよ〜!」
って、声をかけたら、二人とも一瞬動きが止まり、すぐにYさんが血相を変えて藪から駆け下りてきて、「やばい、顔を見た!」と言いながら、びびった表情で駆け抜けて行った。

10秒もしないうちに兄貴が鼻血を出しながら駆けつけて来て、「あれ??Yは??」って言ってキョロキョロしていた。
右手には周りの草ごと引き抜いて取ってきたらしく、雑草の束に絡まったボールを持っていて、慌てて無理矢理取ってきた感じでした。

「おい!Yはどこ言った?」
と、兄貴に聞かれた自分がYさんの走っていった先を兄貴に教えると、兄貴はまたもや慌てた感じでその方向に走り出した。
わけが判らないが自分も兄貴の後を追いかけて行くと、公園抜けた所にある市民会館の裏に兄貴とYさんがもみ合っている様な感じでそこに居た。
Yさんが「痛い!首が折られる!」と頭を抱えながら言っていて、兄貴は必死にその手を剥がそうとしている感じだった。
自分は呆然とその場に立っていると、兄貴が「おい!Yの手を引っ張れ!手伝え!」と怒鳴るので、兄貴を手伝ってYさんの手を剥がそうとしたが、全く剥がれない。
Yさんは自分で首を前に折ろうとしている感じ(フルネルソンを一人でやっている感じ)で、自分で痛がっているのに全く力を緩めない。

そのうち通りかかったおじさんが喧嘩の仲裁のつもりで声をかけてきたが、兄貴が「おじさん、こいつ『おじぎ』を見た」って言ったら一緒に手を剥がそうとしてくれた。
右手をおじさんが引っ張り、左手を兄貴と二人で引っ張って頭から剥がしたが、Yさんの力は恐ろしく強かった。

そうやって無理矢理剥がしたままで、おじさんが散歩している60位の爺さんに声をかけて、その人がYさんの頭を前から抱く感じで捕まえると、すぐ近くの神社までみんなでYさんを運んだ。

頭を前から抱き込まれたYさんは首を前に折ることは出来なくはなったが、爺さんはYさんの頭と腕に自分の腕を挟まれているので痛がっていた。

神社では神主さんが手伝って大人3人で社の奥に運んでいった。
自分と兄貴は手と顔を洗ってからYさんの親を呼んで来るように言われ、呼ぶのは兄貴がすると言うので自分は家に帰された。

その後は兄貴に聞いた話だが、兄貴がYさんの両親を呼んでから神社でYさんの両親と神主さんに何があったか説明していたら、Yさんの親父が変に切れて右フックを顔面に食らったらしく、Yさんの親父はそれを神主さんと奥さんにかなりなじられたらしい。
それ以来、兄貴がYさんの親父の話をするときは「Yのアホ親父」と言う。

神主さんの話では、あの山にYが呼ばれたから兄貴は悪くないし、むしろ兄貴と自分はYが取られるのを防いだらしいから感謝しやがれって事らしい。
普通は一人で呼ばれるので助からない事が多いらしいが、Yさんは兄貴を誘ったり、大人達に助けられたりと運が重なったのが良かったらしい。

兄貴はYさんを助けたものの、ボールを取ったときに手のひら草で切るは、小山から逃げ出すときに道路脇の段差を下を見ながら駆け上ったので自分の膝で鼻を強打するは、Yさんの親父に殴られるはで散々な目に遭って家に帰ってきたが、呪いやタタリが有るわけでもなく無事だった。
Yさんは神社でお払いでも受けたんだとは思うが、その後は市内の総合病院に暫く入院していた。
首はヘルニアになる寸前で、軽度の肉離れが上半身や腕の複数箇所できていたらしい。
しかし、退院後は妙な事は無かったし、Yさんは今も元気にすごしている。
もちろん自分も無事です。以上!

すみません。説明不足でしたorz
当時は知らなかったんですが、「おじぎ」はあの藪に住む妖怪だか幽霊だかです。本当の名前は判りませんが「おじぎ」で通じます。
あの藪に入るときは頭を下げて「おじぎ」をしながら、あれの顔を見ないようにしないといけないらしい。
顔を背ければ顔を見なくて済むんじゃないのって思いますが、Yさんは藪から直ぐに逃げ出しましたが、「おじぎ」のいる反対側を向いて逃げたのに顔が見えてしまったそうです。
良くわかりませんが、藪の中で頭を上げると、「おじぎ」の方向を見なくても顔が見えちゃうとか。
どんYさんは歩きながら人の顔を思い出した感じで見えるって言ってました。
自分の体験からですが、あのテルテル坊主が「おじぎ」だとしたら、藪の外から見ても何ともないようです。

「おじぎ」は多分地元じゃ有名な存在だと思います。
「おじぎ」の居る藪は市の再開発でも手つかずだし、バブルの頃に手を出した地上げ屋が死んだって噂もあって、市の中心地内なのに、そこだけ藪が開発されずに残っています。

Good

カテゴリ:心霊・妖怪
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