五億年で百万円
記憶が曖昧ですが、自分が小学生くらいの頃にジャンプの特別版?か何かで読んだ漫画です。
タイトルは確か「ボタン」だったと思います…。
まとめるのが下手なんでかなり長くなりますが、良かったら読んで下さい。
主人公は、俗に言うなんちゃってヤンキーみたいな奴で、ちょっと悪ぶってるけど実はかなり小心者の高校生。
いつも、強面だけど主人公より更に馬鹿(勉強が出来ないという意味だけでなく人間的にも)なクラスメイトの腰巾着と、頭脳明晰で語尾に必ず「にょ」を付ける、顔は犬で体は人間という謎の同級生の二人を連れて街中をぶらぶらとしていた(本作中でも「人間なのか何なのかも分からない」と説明されていました;)。
ある時、主人公と腰巾着が、「どこかに美味しい金稼ぎの話はないかなあ〜」と高校生らしい話題に花を咲かせていると、その謎の同級生が「ボタンを押すだけで百万円手に入る方法があるにょ」と、いかにも怪しげな話を持ちかける。
二人はその話に興味津々で、謎の同級生に詳しい話を請うと、その謎の同級生はボタンのついた金属製の箱を取り出し「これを押せばこの箱の引き出しから百万円が出てくるにょ」と言う。
「ただし…」謎の同級生はこう続ける。
@ボタンを押すと、宇宙の果てのそのまた果てのどこか訳の分からない所に精神だけが飛ばされる。
Aそこで5億年間、死ぬことも眠ることも出来ないまま(つまりずっと意識がある状態で)過ごす。
B5億年経つと元の場所、元の時間に精神が戻ってくる。
C戻った瞬間に5億年間の記憶は全て抹消され、百万円が引き出しから出てくる。
つまり、実際にはボタンを押した後5億年間何もない空間で寝ることも死ぬことも出来ずに過ごさなければならないが、結局記憶は抹消されるうえ、元の時間、元の場所に戻ってくるのでボタンを押すだけで百万円が手に入ったような感覚に陥る、(もちろん、周りから見てもそう見える)というような内容だった。
最初は二人ともその話にうろたえていたが、人間的な馬鹿な強面の腰巾着が、金に目が眩んでボタンを押してしまう。
すると「チャリーン」という軽快な音とともに、引き出しから百万円が出てきた。
腰巾着が「何だ、簡単じゃん!」と喜びながら何度もボタンを押すと、その度に中から百万円が現れて、瞬く間に腰巾着は抱えきれないほどの札束を手にしてしまう。
呆然と見つめる主人公に、同級生は「本当は5億年体験してきてるんだにょ。記憶がないだけで」と言う。
最初こそ戸惑っていた主人公だが、腰巾着が簡単に札束を手に入れている様を見てついにボタンを押してしまう。
微弱な電流が体を貫通していくのを感じた次の瞬間、主人公は真っ暗な暗闇の中にいた。
何が起こったのか理解できずに助けを求めて走り回るが、次第に空しくなってその場に倒れこんでしまう。
そしてようやく自分が犯してしまったことの重大さに気付き、途方に暮れる。
それから百年近く、悩み苦しみながら苦悩の日々を送る。
独りジャンケンや独りしりとりなどで気を紛らわそうとするが、そんなものは一瞬の気休めでしかない。
そうして二百年近く経った頃、主人公がはたとある疑問が浮かぶ。
それは、「自分とは一体何者なのか」ということである。
地球というちっぽけで、訳の分からない星のこれまたちっぽけな東京の片田舎に生まれ、ちょっと生きてすぐに死んでいく。
何十億通りの人生が渦巻く不条理世界の中に、自分と言う存在は一体何の意味があるのだろうか。
だいたい地球って何なんだ、宇宙って何なんだ、自分ていうのは一体何で存在しているんだ、もしかしたらこの暗闇の世界にいる自分が世界の創造主で、地球で平凡に暮らしていた自分は、本当の自分が作り出した夢の登場人物に過ぎないのかもしれない。
主人公の頭の中はそんなとりとめもないことで満たされていく。
そうした疑問に対して、主人公は自分なりの答えを出すために自分の歯を抜いて、地面に答えを導き出す式を延々と書き綴っていく。
何百年、何千年と書き綴り続ける。
幸い、キャンパス代わりの地面は果てしなく広がっている。
そうして、主人公は三億年あまり書き綴り続けた。
そしてある時、彼は「何か」を悟ったらしい。
その後残り約二億年は空間と調和し、一切の邪念を捨て払った。
そしてちょうど五億年目、主人公は地球へと戻る。
無論、今までの記憶は全て抹消されてしまう。
地球に戻った主人公の前には、百万円があった。
もちろん今までの記憶がないので、主人公は大喜び。
札束に埋もれる腰巾着を目の当たりにし、何も知らずに勢いで思いっきりボタンを連打してしまう。
…とまあだいたいこんな感じの話です。
自分的には小学校の頃に読んだのでその時はただただ不思議というか面白いなあとう感想しかなかったのですが、今よくよく考えてみると物凄く後味の悪い話だと思いました。
長文&分かりにくい駄文ですみませんでした。
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