エボリューション!
これは、今から10年ほど前の話です。
当時はドラゴンボールZが超人気でした。その週のドラゴンボールZを見逃すとクラスの話題についていけないほどでした。
そんなドラゴンボールZにまつわるちょっとせつない洒落にならない話。

ある日A君がいつもどうり登校すると今日の給食は大嫌いな海草入りの煮付けだということが判明しました。
A君ははなっから食べる気などありません。ぱっと捨ててそのまま昼休みに行こうと思っていました。
しかしその日に限ってお残しにはうるさい体育教師がA君の席の側に座っていました。
A君はすきを見て逃げようと思いましたが、見つかってしまいました。
「お前これ食ってしまうまで帰さんからな!」
A君は居残りの引導をわたされてしまいました。
夕方になればほとぼりも冷めるだろうと期待していたのですが、あまかった。
体育教師は、しっかりホームルームが終わると同時にA君の教室に現れたのでした。
「さぁ…食ってもらうぞ」
体育教師はそういって器のラップをはがしたのだった。
次の瞬間Aくんは戦慄した。
昼間の煮付けは、発酵し、今にも次の段階へとエボリューションしようとしていた。
「これを食うのか…」
A君は昨日までの自分をうらやましく思いながら、ただただ煮付けを目の前に動けずにいた。

気が付くと、外は暗く、月が出ていた。
「六時半か…」
ガラガラ…教室の戸が開いた。
「お前!まだ一口もくっとらんじゃないか!」
体育教師だった。
「無理です!こんなの人間の食い物じゃありません!」
だんこ否むA君に仕方ないなという表情で体育教師がちかずいてきた。そして耳元でこうつぶやいた。
「おまえ…今日が何の日かわすれてないか?…」
!!!!A君は、全身の血の気が引くのがわかった。
そうなのだ!今日はドラゴンボールZの日。
「察しのとうりだ…あと30分しかないなぁ…。お前家まで20分かかるんだろーぎりぎりだなー!」
更に体育教師はまくし立てます。
「見れなかったらやばいよな…明日お前は仲間はずれだな…」
その言葉がA君の尻に火を付けました。
「みんなーオラに元気を分けてくれー」
叫ぶと同時に、A君は煮付けを口に流し込みました。その間A君の頭の中ではCYARA−HECYARAが流れていました。
食べ終えたA君は家路を急ぎました。校門をでて、道路を走っていると体育教師が教室の窓から叫びました。
「今日は野球で休みだよー」


そして次の日ショックと腹痛で寝込んだA君は学校を休み、大好物のカレーとフルーツポンチを食べ損ねました。
そんなちょっとせつない洒落にならない話でした。

Good

カテゴリ:学校
[9]戻る
[0]HOME