紐の先
近所で有名な徘徊老人の話。

家の近所には十一時くらいになると紐でなんかを引きずってるおばあちゃんが出没します。
僕自身も何度も見てるんだけど暗いから何を引きずってるかはいつもわかんなかった。
まあ、「あ〜ちゃん(?)疲れたか〜」とか言いながら何かをズルズル引きずってるもんで、気持ち悪くてあんまり見ないようにしてたんだけど。
でまあ、自分の中では「多分死んだペットの遺物でも引きずって思い出に浸ってんだろ」とか自己解決していた。「思い出引きずってもペットの遺品は引きずんなよ〜」みたいな。

その後、親父になんとなしに「あのばあちゃん、昔ペットでも飼ってたの?」とか聞いてみた。
すると親父に、「○○さんち?いやあ、そんな話聞いたこと無いぞ。」的なことを言われる。
そうなるとさすがに気になってきて、何を引きずってるのか知りたくなってきた。

十一時くらいになって、「コンビニ行ってくる」とかいって外に出てあのばあちゃんを探した。
やはり、いた。何かを引きずって。「あ〜ちゃん(?)ご飯は〜?」とか言ってる。
いつものようにそそくさと横を通り過ぎる振りをし、距離が縮まったところでフッとそれを見た。

それは、ズタズタになった子供の靴だった。

Good

カテゴリ:人間の怖い話
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