もし、もし、もし、
俺の高校時代に、寮で起こった実話。
夏休み前で下級生は全員帰省しており、残ってた同級生同士で百物語やろうって話になった。
まあ、ほとんどノリだったんだが。w
夜、じとーっとした空気の中、人もおらずガランとした中央棟の真ん中で、蝋燭の火は灯された。
最初は皆適当な話でも適度に怖がっていた。
が、終盤に行くにつれてそんな雰囲気もどこへやら、金縛りにあった話だの、昨日トイレから死臭がした話だの、メンバーの間にはお決まりのネタ切れ感が漂っていた。
結局百話全て完結する前に、俺は明日は朝早いし、ってことでこの場を抜けて部屋に戻り、とっとと寝ることにした。
二時間くらい寝ただろうか、急に目が覚めて、気付くとあの中央棟に居たんだ。
寒いなー、あらら、ここで寝ちゃったんだっけ? みたいな、そんな呑気な事を思いながら辺りを見回すと、参加していたメンバーも全員ここで寝てる…。
確か自分の部屋行って寝たはずなんだけどなぁ…。
と考えていたその時、寮に備え付けのラジオのスピーカーから、妙な音がフェードインしてきたんだ。
砂嵐とノイズ混じりの音の中に、変則的な、オッサンの声を高く歪ませた声で、
もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、もし、
ボイスレコーダーで作ったような変声音が延々とリピートされ続けていた。
おぞましい寒気を感じた俺はラジオのコードを死ぬ気で暗がりの中探して引っこ抜くと、急いで全員を叩き起こした…。
後日聞いたんだが、そんな声を聞いた覚えのある奴は一人もおらず、結局俺一人しか祟り?には遭わなかった。
また、百物語の場から抜けた奴は俺含めて一人もいなかったという。
当然こんな話誰も信じてくれず、はいはい怖い怖い、と流されてしまった。
あの声は何だったんだろ? つーか俺は確かにあの場を抜け出してたはずなんだが…。
何となくだけど、百物語は 参加したら終わるまで絶対逃げられない。そんな感じを覚えた。
カテゴリ:不思議・不気味
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