ドザエモン
ある漁師が漁をしていた。
その漁師の船は小型ボートような狭く小さな船で、いつも一人で漁をしている。その日は魚がそこそこ獲れ船が魚でいっぱいになった。
もう少し魚を獲ろうと思い、網を撒く場所を考えていると船のほうに何かが流れて来る。それはぶくぶくに膨れあがった水死体だった。
その死体はまるで吸い寄せられるかのように船に近づいてきて、ついには船体に接触した。きっと水死体は自分を頼って船に近づいてきて、寒い海から引き上げてもらい供養を受けたいのだなあと漁師は感じた。
しかし水死体を船に揚げると獲った魚を全て捨てなければならないほど船が小さいので、水死体に向かって「悪いけど今はお前を救ってあげることができない…」と言った。
すると水死体は意思があるかのように動き、す−っと、船から遠ざかって行った。
そんな事があってから、漁師の船はまったく魚が獲れなくなった。あまりに魚が獲れなく生活にも支障が出てきた。水死体を引き揚げてやらなかったことがその原因ではないかと考え、漁村の霊媒師のところに相談に行った。
霊視してもらうとやはり、その漁師の船にはその水死体の霊が憑いて、それが魚が獲れなくなった原因であった。除霊するために船のお払いを受けてからは魚が獲れるようになったという。
カテゴリ:心霊・妖怪
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