拾った籠
俺が小学生のときのことなんだが…。
犬を飼っててよくカーチャソと山に散歩に連れて行ってたんだ。
その日もいつもと同じ散歩コースを歩いてたところ、犬がうんこしそうになってな。でもまだそこは舗装されてる道だったから、少し先の草むらまで我慢させてリード引っ張ってったんだ。
で、草むらで犬がうんこしてるところ眺めてるとカーチャソがいなくなってた。あれ?と思って探してると、その草むらのかなり背の高い草がおいしげってるあたりにしゃがんでた。
近寄ってみるとなんか藁?みたいなのでできた籠?みたいなものが捨ててあるのをじーっとしゃがんで眺めてんの。

犬もうんこ終わったし、帰ろうかって言ったらカーチャソも「うん」って立ち上がったんだが、その手には籠が。
なんで拾ってんの?って聞いたんだが、持って帰って使うって言うんだ。でもそれどう見ても元はお菓子とかを入れるような籠で、同じ用途で使おうとしてんの。
なんか汚いし家のテーブルに置くの嫌だから捨てるように言ったんだけど持って帰るってきかなかった。
今思うとあのときカーチャソが何かにとり憑かれてたような気がして怖い。持って帰るって言い方が尋常じゃなかった。
で、結局それ持って帰ったんだが、それからが大変だった。

まず家族3人揃って風邪ひいた。
父親は39度超える高熱出すし、すごい吐きまくってた。カーチャソは手が痛いってずっと言ってたな。
更に、3人揃って悪夢を見た。
カーチャソは鎌持った死神?風なのに斬られる夢。
俺は籠拾った草むらが真っ赤に染まってて、そこでカーチャソに首絞められてる夢。
父親は夢見たってだけで内容は語らなかった。
あの籠が悪いんじゃないのかって話になったんだが、カーチャソは絶対にそんなことはないって否定してた。
でも2日くらいその悪夢と体調不良にうなされた父親が黙って車で元の場所に籠を捨てに行った。父親ともよく犬の散歩に行ってたから話したらだいたい場所わかってくれた。
でも次の日になっても体調は元に戻らなかったんだ。

父親は仕事休むわけにはいかんって熱あるのに仕事行ってしまった。
昼間カーチャソと二人でリビングに布団しいて寝てたんだが、物凄い雄叫びで目が覚めた。隣で寝てるカーチャソがうなされてた。
その時ふと気づいた。テーブルの下に何かある。
リビングは椅子があるので床に座らないし、寝ることもなかったので気づかなかったんだ。
カーチャソが座る椅子のところのテーブルクロスを捲るとあの籠があった…。

その後はもう怖くなって父親の会社に電話。父親も帰宅して確かに捨てたのに…って驚いてた。
で、草むらに行き、今度はもう籠を焼いた。素人がこんなことして大丈夫なのか?と不安だったが…。
それ以降は嘘のように具合もよくなり悪夢も見なくなった。
後で聞くと捨てたはずの籠はカーチャソがまた拾ってきてたらしい…。テーブルの下の籠に1日で気づけて本当によかったと思う。

長いうえにあんまり怖くなかったかもしれんが、実際に体験して一番怖かった話。

Good

カテゴリ:不思議・不気味
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