ずっと友達
小学校低学年の時、台風のあとの増水した川を友達と二人で見に行った。
コーヒー牛乳みたいな色の渦巻きを見るのが楽しくて、川岸で乗り出していたら、いきなり後ろから友達が俺を突き落とした。
背中の感触からいって、両手で押したんだろう。
突然水中に頭からつっこんで、なにがなんだか分からないままおそらく十数秒ぐらい川を流された。濁流にきりもみで上も下も分からず、なぜか怖いという感覚もなかったような覚えがある。
そのうちガクンと何かにひっかかり、それに必死で掴まって這い上がったら川岸から大きく伸びて転がっていた流木の枝だった。

上がった場所は家から二丁目分ほどの距離だったので、そのまま歩いて戻った。
途中で川に落ちた地点を通りかかったけど、友達はいなかった。
俺がなかなか戻ってこないから帰っちゃったんだろう。

全身泥水ずぶずぶの俺を見て、オカンはどうしたのかと聞いたけど、「川に落ちた」とだけ言った。怒られて、風呂入って、寝た。
次の日、学校でいつものように友達に会った。
お互い別に昨日のことについては何も話さず、卒業までずっと友達だった。

Good

カテゴリ:人間の怖い話
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