コケシ
夜中までテレビ見て、多分2、3時ごろだったと思う。
うとうとしてたら急に耳鳴りと眩暈がしてきて、ああ金縛りなりそうだなって思った。

あんのじょう体が動かなくて、まいったなーって思いながら目だけできょろきょろしてた。
そのうち耳鳴りがひどくなってって、気分が悪くなって隣の部屋の両親を起こそうと思ったけど、息がひーひー言うだけで声が出ないのよ。

そのうち、貧血で立ちくらみの時みたいに、視界の端がだんだん暗くなってきて目の前に、できの悪い心霊写真みたいな感じで、コケシの顔が浮かんでくるの。
最初は小さかったんだけど、だんだん大きくなってきて、最終的に笑うセールスマンがドーン!ってやるとき見たいな感じになってった。
耳鳴りは、いままで聞いてきたどんな大きい音より大きくなってって、その中に聞こえてきたのは「行こうよ」って声。いろんな方向からたくさん聞こえてきた。
目はもう見えなくて、視界一面にコケシの顔があった。

うまく書けないけど、もう鼓動が尋常じゃないほど早くって、「怖い」っていうより「やばいやばいやばい」ってずっと思ってた。

「ねえ、行こうよ」

ってこれまでで一番はっきりと大きく子供の声がしたと思ったら、急に視界が開けた時、俺、ベランダから半分以上身を乗り出してた。
言い忘れたけど、マンションの5階に住んでる。
ちょうどトイレに起きた親父に発見されて無事だった。

こんな感じ。
後で知ったんだけど、コケシって、飢饉とかで死んだ子供の代わりみたいな意味で作ったらしいじゃん?
子消しって意味。

知ったときは本当に泣きそうだった。

Good

カテゴリ:心霊・妖怪
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