後ろの正面
今朝、怖い夢を見た。夢だけならよかった。
場面は、吊橋の上。ちょうど橋の真ん中あたりだろうか、女の子が背中向けて立っていた。どうやら泣いているようだ。
気になって声をかけようとしたその時、急に違う場面にかわった。
私は薄暗い部屋のイスに座っていた。目の前にさっきの女の子。今度はしゃがんでまだ泣いている。
女の子の肩に手を伸ばした。
「ガシッ!」
触れるすんでで腕を捕まれた。子供の、女の子の力じゃない!!
振り向く女の子、その両手で私の頭をロックする。女の子の顔を強制的に正面から見る形になった。
驚愕…いや 恐怖だ! 力にじゃない、女の子の顔は「人形」だった。全く表情はない。
頭を動かす事も、目を背ける事も出来ない!恐怖と焦躁感が心を支配する!
人形の顔に、細かなヒビが入る。パラパラと落ちていく顔の表面。
そのすき間から覗く赤黒い腐肉、ピキピキと動き出す口元。人形は歌った。
「かーごめ かごめ ゲラゲラゲラ!!!!」
狂喜として笑い狂う人形。私は恐怖のピークをむかえた。


ガバッ!
全身に嫌な汗をかいていた、やっと目覚められた…まだ心臓が早鐘を打っている。でもよかった。とりあえずタバコを吸って落ち着こう。
「まだ五時半か ニュースでも見るか」
テレビのスイッチをつけようとした瞬間…

ゾクッ
背中を走る悪寒、電源を入れていない黒いブラウン管。あぁ、見なければよかった。ブラウン管に反射する私の顔…もう一つ映るもの…ごめんなさい。今、私は振り向くことができません。誰か助けて…教えてください…


ウシロノショウメン…… ダアレ…

Good

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