しあわせの日
今日は彼と初めて出会った記念すべき日。これを私は「しあわせの日」って呼んでいます。

この記念日には、私は彼の部屋で豪華な料理を作って待っています。
でも彼は仕事熱心で、いつも帰りが遅いのが玉に瑕。今日も遅いみたい。
料理が冷めちゃうな、もう。その時、玄関の戸が開く気配がした。彼が帰って来たみたい。
私は健気な彼女を装う為に、待ちくたびれて寝てしまった様に机に突っ伏す。
これぞ定番、狸寝入りだ!

彼は部屋に入るなり、料理を見て、私を見て、驚きで大きな声を上げる。
それこそ狂ったような大声を。
(もう、大げさなんだから。でも驚いているみたい。ウフフ、だって彼の部屋に勝手に入ったのって1年ぶりだもの)

彼は私にしがみつく。そして強く抱きしめる。
(痛い、痛すぎるって…強すぎるよ)
彼は私に向かって、必至に声をかけてくる。
(何か凄く、怒っているみたいなんだけど…?)
彼の腕が、私の首にまわり、私の細い首を締め上げる。
(苦しいって…。勝手に入ったから怒っているの?)


彼は血走った目で私を見ながら、壊れたCDプレイヤーみたいに、同じ事を何度も何度も叫んでいる。
「お前はどうして、毎年、毎年っ!!いい加減に死ねよ!死ねよ!死ね!死ね!死ね!死んでくれよ!消えてくれよ、どうして現れるんだよ、どうして来るんだよ、本当に死ねよ、死ね!死ね!死ね!死んでくれ!」

うふっ、彼が怒っている理由思い出しちゃった。私はこの日に彼に

  殺 さ れ ち ゃ っ た ん だ 。

…でもね、毎年絶対に来ますね。愛すべき彼がこちらにくるまでずっと。
この日を「死合わせの日」って呼んだりして。

Good

カテゴリ:心霊・妖怪
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