直系男子の怪
小学生の頃、母方の実家に行った時の話。
祖父の法事で正直、自分が生まれる前に亡くなってるのでどうでもよかった。
大人たちは準備や挨拶に忙しく、子供は向こうで遊んでなさいという感じだった。
仕方なく、妹と従姉と一緒にこの家の山で遊ぶことになった。
山の中をウロウロしてると、洞穴を見つけ中を探索しようと期待しながら中に入ると、大人三人ぐらいが入れる空洞と奥に綺麗に装飾された扉あった。
三人で中になにがあるのか確かめるために扉に触れようとしたら
「コラッ」
後ろを向くと洞穴の入り口に凄い形相の伯父が立っていた。
「開けたんか、中見たんか」と聞かれ「開けてない」と答えると伯父が
「よかった…よかった…」と泣き崩れた。
子供心に怒られると思ってただけに驚いた。
それから自分たちが実家に戻るとお手伝いさんも大慌て、その場で法事は中止。
自分たちは父親とそのまま家に帰され、母親はそのまま親族会議だったらしい。

それから十年ほどしてまた法事で実家に行くことになった。
伯父にその話をしてみると、「そんなこともあったなぁ」と言いつつ、俺が詳しく聞きだそうとすると、どうも歯切れが悪い、食い下がってなんとか聞き出した。
昔、このあたりには山神様?(名前忘れた)がいて、若い娘を生贄にという風習があり、それをうちのご先祖様(男)が自分を身代わりに止めさせたらしい。
でも山神様の怒りはおさまらず、今も家の男に怒りが向いており、何代か前から山神様をあの扉に封じてるらしい。
それを聞いてから家系図を調べると、異常なまでに女の子が多い。
男の子は生まれても流産してたり、そんなに長生きしてない、長生きしてても40歳ぐらいで自殺、怪死、蒸発したりしてた。祟りとかはまったく信じてないけど、伯父が喋りたがらない理由がわかった気がする。
後から聞いた話だと伯父は婿養子らしい、だから直系で残ってる男はもう俺だけだそうだ。

Good

カテゴリ:不思議・不気味
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